担当講義・演習

学部

作業療法概論

授業科目名 作業療法概論 担当者 籔脇健司・京極真・竹林崇,他
学科 作業療法学科 年次 1年次 履修期 2016年度春期
テーマと
到達目標

将来,作業療法士として従事することを目指し,保健・医療・福祉,あるいは新しく開拓される領域での作業療法の役割を多様な観点で捉えることができる.また,作業療法の専門性と独自性を明確に理解できることを到達目標する.

概要

作業的存在としての人と作業療法の役割を理解するために,作業のイメージを明確にし,各領域における作業療法の実践過程を理解する.また,作業療法の歴史的背景と実践理論の概要を学び,根拠に基づく実践の重要性と今後の作業療法への展望について検討する.

評価方法 授業への参加度(30%),課題(20%),期末試験(50%)の結果で総合評価
履修条件
注意事項
グループワークや発表時に欠席した場合は成績評価に大きく影響するため,必ず担当教員に連絡すること
日常生活の中で人(自分自身も含む)と作業の関係について洞察を深めること
春期授業計画 秋期授業計画
  1. オリエンテーション,作業とは何か
  2. 作業療法の対象,Enabling occupation
  3. 身体障害領域の作業療法
  4. 精神障害領域の作業療法
  5. 高齢者・認知症の作業療法
  6. 作業療法の歴史(起源)
  7. 作業療法の歴史(パラダイムシフト)
  8. 作業療法の実践理論(人間作業モデル)
  9. 作業療法の実践理論(CMOP-E・OTIPM他)
  10. 高次脳機能障害領域の作業療法
  11. 発達障害領域の作業療法(外部講師)
  12. 新しい領域での作業療法(産業OT他)
  13. 作業療法研究とEBOTの重要性
  14. 生活行為向上マネジメント
  15. 作業療法を取り巻く状況,まとめ
教科書   書籍名 作業療法の世界 第2版 出版社名 三輪書店
著者名 鎌倉矩子 ISBN 978-
4895902052
参考書 書籍名 作業療法概論(作業療法学全書改訂第3版) 出版社名 協同医書出版
著者名 杉原素子 ISBN 978-
4763921185
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老年期障害作業療法学

授業科目名 老年期障害作業療法学 担当者 籔脇健司
学科 作業療法学科 年次 3年次 履修期 2016年度春期
テーマと
到達目標

作業療法の実践においては,クライエントの個別性を尊重した生活支援サービスを提供することが求められるが,役割の喪失期にある高齢者を対象とする場合は,生活満足感や主観的幸福感を高められるようなライフスタイルの構築を特に留意して援助しなければならない.

本授業では,高齢クライエントの豊かなライフスタイル構築を支援するために,身体的・精神的特性と主観的側面の多様性を認識し,適切な作業療法サービスの提供方法を理解することを到達目標とする.

概要

高齢クライエントの豊かなライフスタイル構築を支援する作業療法サービスに必要な知識・技術を学ぶ.まず,高齢者の特性,特に認知症に関する基本的知識を説明し,サービス提供のアウトカム指標となるQOLの構成概念や評価法について概説する.そして,作業療法実践における評価から目標設定,アプローチに至るまでの手順と手法,考え方に関する講義と演習を行い,実際の事例紹介を交えながら,最終的には学生自身で事例検討を行う.また,高齢者施設での作業ニーズ評価実習を通して,実践場面のイメージ形成を図る.

評価方法 個別課題(10%),評価法選択・目標設定演習(20%),事例検討(20%),作業ニーズ評価実習(30%),期末課題(20%)の結果で総合評価
履修条件
注意事項
グループワークや発表時に欠席した場合は成績評価に大きく影響するため,必ず担当教員に連絡すること
春期授業計画 秋期授業計画
  1. オリエンテーション,高齢者のその人らしさとは
  2. 高齢者の身体的・精神的特性と客観的・主観的QOL
  3. 認知症の症状と行動特性,生活上の問題
  4. 高齢者に対する評価法1
  5. 高齢者に対する評価法2
  6. 高齢期作業療法の評価から目標設定までの流れ1
  7. 高齢期作業療法の評価から目標設定までの流れ2
  8. 作業に焦点を当てた実践の展開(外部講師)
  9. 高齢者に対するアプローチ
  10. 認知症高齢者に対するアプローチ
  11. 作業ニーズ評価実習(学外施設)
  12. 介護保険施設における作業療法の実際
  13. 地域における高齢期作業療法の実際
  14. 事例検討
  15. まとめ,臨床評価実習に向けて
教科書   書籍名 高齢者のその人らしさを捉える作業療法 出版社名 文光堂
著者名 籔脇健司 ISBN 978-
4830645198
書籍名 認知症をもつ人への作業療法アプローチ 出版社名 メジカルビュー
著者名 宮口英樹 ISBN 978-
4758314862
参考書 書籍名 作業治療学4 老年期(作業療法学全書改訂第3版) 出版社名 協同医書出版
著者名 村田和香 ISBN 978-
4763921246
書籍名 作業で語る事例報告 出版社名 医学書院
著者名 齋藤佑樹 ISBN 978-
4260019514
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生活環境学

授業科目名 生活環境学 担当者 籔脇健司・狩長弘親
学科 作業療法学科 年次 3年次 履修期 2016年度秋期
テーマと
到達目標

作業療法においては,クライエントのQOLを改善するために,生活機能と相互作用するとされる環境因子へのアプローチが非常に重要と考えられている.

本授業では,クライエントの生活環境を支援するために必要な技術を,福祉用具と住環境の視点から理解することを到達目標とする.ここでは,学内外の機器・設備を積極的に利用し,幅広い知識を身につけることが期待される.

概要

クライエントの生活環境を福祉用具と住環境の視点から支援するために必要な知識・技術を学ぶ.まず,環境の概念や法制度を含むサービス支給体系について概説する.そして,各ADL場面に応じた支援法として,福祉用具の特徴や使用方法,クライエントへの適応方法を理解できるような講義と演習を行う.住環境においては,住宅改修の基本的知識とアセスメント方法を説明し,事例に対する改修案の検討・発表を行う.また,くらしき健康福祉プラザの施設を利用し,多様な福祉用具や設備,住宅改修モデルについて理解を深める.

評価方法 各環境支援実習(50%),福祉用具体験実習(20%),住宅改修事例検討(30%)の結果で総合評価
履修条件
注意事項
実習やグループワーク時に欠席した場合は成績評価に大きく影響するため,必ず担当教員に連絡すること
春期授業計画 秋期授業計画
  1. オリエンテーション,生活環境,サービス支給体系
  2. 移動・移乗環境の支援法
  3. 移動・移乗環境の支援法(実習1)
  4. 移動・移乗環境の支援法(実習2)
  5. 排泄環境の支援法
  6. 入浴環境の支援法
  7. モジュラー型車いすの適応
  8. モジュラー型車いすの適応(実習)
  9. 福祉用具の理解1(くらしき健康福祉プラザ見学)
  10. 福祉用具の理解2(同上)
  11. 住宅改修の基本知識
  12. 住環境のアセスメント
  13. 住宅改修を中心とした事例検討(グループワーク)
  14. 住宅改修を中心とした事例検討(発表)
  15. 生活環境支援の実際,まとめ
教科書 書籍名 作業療法技術学2 福祉用具の使い方・住環境整備(作業療法学全書改訂第3版) 出版社名 協同医書出版 
著者名 木之瀬隆 ISBN 978-
4763921277
参考書 書籍名 ケアマネジメントのための福祉用具アセスメント・マニュアル 出版社名 中央法規出版
著者名 市川洌 ISBN 978-
4805817513
書籍名 OT・PTのための住環境整備論 第2版 出版社名 三輪書店
著者名 野村歓,橋本美芽 ISBN 978-
4895904254
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地域作業療法学特論

授業科目名 地域作業療法学特論 担当者 籔脇健司
学科 作業療法学科 年次 3年次 履修期 2016年度秋期
テーマと
到達目標

本授業では,地域で生活するクライエントのQOLを支援するために必要な概念や法制度,アセスメント方法を理解し,作業療法の視点から地域に貢献するために必要な技術とは何かを知ることを到達目標とする.

概要

地域で生活するクライエントのQOLを支援するために必要な知識・技術,作業療法の視点から地域に貢献するために必要な考え方を学ぶ.まず,地域とは何なのかということをイメージできる諸概念を説明する.そして,健康や予防に関する概念と施策を概説し,作業療法が貢献できる領域について理解する.また,生活行為向上ケアマネジメントの概要と実践方法に関する講義と演習を行い,特に介護保険領域において,利用可能な社会資源をふまえて主体的に学ぶ.地域での実践としては,高齢期と精神障害領域の作業療法の現状を紹介する.

評価方法 地域で作業療法士が関わる意義の論述(30%),生活行為向上マネジメント演習(70%)の結果で総合評価
履修条件
注意事項
グループワーク時に欠席した場合は成績評価に大きく影響するため,必ず担当教員に連絡すること
春期授業計画 秋期授業計画
  1. オリエンテーション,地域とは
  2. 健康増進・介護予防と地域作業療法
  3. 生活行為向上マネジメントの概要と実践方法1
  4. 生活行為向上マネジメントの概要と実践方法2
  5. 生活行為向上マネジメントによるプラン作成演習
  6. 地域の社会資源
  7. 精神障害領域の地域リハビリテーション(外部講師)
  8. 地域における作業療法実践
教科書   書籍名 地域リハビリテーション原論Ver.6 出版社名 医歯薬医書出版 
著者名 太田仁史 ISBN 978-
4263214367
書籍名 生活行為向上マネジメント(作業療法マニュアル) 出版社名 日本作業療法士協会
著者名 日本作業療法士協会 ISBN なし
参考書 書籍名 地域作業療法学(作業療法学全書改訂第3版) 出版社名 協同医書出版 
著者名 太田睦美 ISBN 978-
4763921307
書籍名 事例で学ぶ生活行為向上マネジメント 出版社名 医歯薬出版
著者名 日本作業療法士協会 ISBN 978-
4263215388
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管理運営学

授業科目名 管理運営学 担当者 籔脇健司・京極真
学科 作業療法 年次 4年次 履修期 2016年度秋期
テーマと
到達目標

作業療法士の有資格者が約74,000名を越え(平成27年12月現在),一つの病院・施設に多数の作業療法士が勤務することが多い現状を考えると,作業療法部門を適切にマネジメントする能力を早期に獲得することが要求される.

本授業では,作業療法業務を実施する際に必要となる概念と知識を理解し,実際の臨床・臨地に従事するための思考を形成することを到達目標とする.

概要

作業療法士として,実際の臨床・臨地に従事するために必要な概念と知識を学ぶ.まず,作業療法業務における管理・運営,職業倫理について概説する.そして,実践場面における倫理的ディレンマやリスクマネジメントに関して,適切な対応ができるように講義・演習を行う.また,医療保険・診療報酬,介護保険・介護報酬に対する理解を深める講義と演習を行い,各領域を分担して学生によるプレゼンテーションを実施する.さらに,リハビリテーション施設開設の実際について紹介し,最終的に学生自身で開設計画を作成する.

評価方法 信念対立・リスクマネジメント演習(25%),診療報酬・介護報酬発表(50%),作業療法部門開設演習(25%)の結果で総合評価
履修条件
注意事項
グループワークや発表時に欠席した場合は成績評価に大きく影響するため,必ず担当教員に連絡すること
春期授業計画 秋期授業計画
  1. オリエンテーション,作業療法業務における管理・運営
  2. 作業療法士の職業倫理
  3. 作業療法と信念対立1
  4. 作業療法と信念対立2
  5. 医療保険と診療報酬
  6. 介護保険と介護報酬
  7. 作業療法に関わるリスクマネジメント1
  8. 作業療法に関わるリスクマネジメント2
  9. 作業療法に関わる診療・介護報酬(準備)
  10. 作業療法に関わる診療報酬(発表)
  11. 作業療法に関わる介護報酬(発表)
  12. 回復期リハビリテーション病棟における開設の実際(外部講師)
  13. 疾患別リハビリテーション施設開設の実際(外部講師)
  14. 作業療法部門開設演習
  15. まとめ,作業療法士になるとは
教科書 書籍名 作業療法ガイドライン 出版社名 日本作業療法士協会
著者名 日本作業療法士協会学術部 ISBN なし
書籍名 作業療法が関わる医療保険・介護保険・障害福祉制度の手引き 出版社名 法人日本作業療法士協会
著者名 日本作業療法士協会制度対策部 ISBN なし
参考書 書籍名 医療関係者のための信念対立解明アプローチ 出版社名 誠信書房
著者名 京極真 ISBN 978-
4414802054
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作業療法学研究法演習

授業科目名 作業療法学研究法演習 担当者 籔脇健司・ゼミ担当教員
学科 作業療法 年次 4年次 履修期 2016年度秋期
テーマと
到達目標

作業療法士には,最新の研究成果を収集して実践に生かす技術や臨床での疑問を研究して解決する能力が求められる.

本演習では,作業療法学研究で必要な知識を習得し,実際の研究プロセスを体験することで,根拠に基づいた実践に必要な能力を身につけることを到達目標とする.

概要

ゼミ形式にて実施する.各ゼミの研究テーマに応じて研究計画書を作成後,データ収集と分析を行い,研究論文として文章化する.また,論文の内容を研究発表会にて報告する.

評価方法 研究論文の内容(50%)と研究発表の内容(50%)で総合評価
履修条件
注意事項
研究論文発表会前は準備に多くの時間を要するため,スケジュール調整に留意すること
春期授業計画 秋期授業計画
  1. 研究計画書作成
  2. 研究実施(研究協力者募集)
  3. 研究実施(データ収集)
  4. 研究実施(データ整理)
  5. 研究実施(データ分析)
  6. 研究実施(データ解釈)
  7. 研究実施(先行研究と収集データの比較)
  8. 論文執筆(方法)
  9. 論文執筆(結果)
  10. 論文執筆(はじめに)
  11. 論文執筆(考察)
  12. 論文執筆(全体の洗練)
  13. 発表スライド作成
  14. 発表原稿作成
  15. 研究論文発表会
教科書 書籍名 作業療法研究法 第2版(標準作業療法学専門分野) 出版社名 医学書院
著者名 山田孝 ISBN 978-
4260014830
書籍名 これからレポート・卒論を書く若者のために 出版社名 共立出版
著者名 酒井聡樹 ISBN 978-
4320005747
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大学院(修士・博士)

保健科学特論Ⅰ

授業科目名 保健科学特論Ⅰ 担当者 河村顕治・中角祐治・尾瀬裕・太湯好子・齋藤圭介・原田和宏・籔脇健司,他
学科 保健科学研究科(修士課程) 年次 1年次 履修期 2016年度春期
テーマと
到達目標

修士論文を書くために医学全般において広い知識を習得し,研究者としての倫理,研究方法について学ぶ.

概要

オムニバスでそれぞれのトピックスを講義する.木曜3限目,教室は11号館3階の共同研究室で行う.

評価方法 講義中の質疑応答,口頭試問
履修条件
注意事項
能動的学習を望む
春期授業計画 秋期授業計画
  1. 修士での研究の進め方
  2. 研究と倫理1
  3. 研究と倫理2
  4. 研究の基礎と考え方1
  5. 研究の基礎と考え方2
  6. 調査研究法1
  7. 調査研究法2
  8. 臨床研究法1
  9. 臨床研究法2
  10. 研究結果の信憑性
  11. 調査系の研究モデルという考え方
  12. 実験研究法1
  13. 実験研究法2
  14. 研究発表の仕方
  15. 論文執筆の際の注意点
教科書 書籍名 指定なし 出版社名
著者名 ISBN
参考書 書籍名 出版社名
著者名 ISBN
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保健科学研究法特論Ⅱ

授業科目名 保健科学研究法特論Ⅱ 担当者 籔脇健司
学科 保健科学研究科(修士課程) 年次 2年次 履修期 2016年度春期
テーマと
到達目標

保健科学の発展に資する研究遂行に必要な知識・技術の獲得を目的とした概説を行い,学生は各自の関心テーマに応じた課題に取り組む.

本講義では量的(質的)研究のデザインと多様なデータ収集方法について理解し,自身の研究から得られるデータを適切に分析して結果を要約するスキルを習得することを到達目標とする. 

概要

下記講義計画にしたがい,修士論文作成に直結する研究スキルの獲得を目的とした内容を教授する.研究デザインとデータ収集法に関しては,学生が修士論文で用いるデザインを中心に,教科書等を用いながら可能な限り洗練された手法となるように検討する.また,量的・質的データを適切に分析するために,学生自身の研究に必要な統計手法やソフトウェアの操作法,質的統合法やGTAの分析プロセス等を指導する.また,分析結果の執筆に必要な知識や表現スキルについて,ライティングアップ形式で学修する.

評価方法
  1. 講義の理解度(50%)
  2. 演習課題(50%)

上記1,2の結果で総合評価

履修条件
注意事項
研究テーマと進捗状況に応じて指導する
春期授業計画 秋期授業計画
  1. オリエンテーション
  2. 研究課題とは何か1
  3. 研究課題とは何か2
  4. 量的研究と質的研究の特徴
  5. 量的(質的)研究デザインとデータ収集法1
  6. 量的(質的)研究デザインとデータ収集法2
  7. 量的(質的)研究デザインとデータ収集法3
  8. 量的(質的)研究デザインとデータ収集法4
  9. 量的(質的)データの分析法1
  10. 量的(質的)データの分析法2
  11. 量的(質的)データの分析法3
  12. 量的(質的)データの分析法4
  13. 分析結果の執筆法1
  14. 分析結果の執筆法2
  15. 研究成果と保健科学の関連/まとめ
教科書 書籍名 現代の医学的研究方法-量的・質的方法,ミクストメソッド,EBP 出版社名 メディカル・サイエンス・インターナショナル
著者名 Pranee Liamputtong(木原雅子・木原正博訳) ISBN 978-4895927147
参考書 書籍名 適時指示する 出版社名
著者名 ISBN
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作業機能障害援助特論Ⅰ・Ⅱ

授業科目名 作業機能障害援助特論Ⅰ・Ⅱ 担当者 籔脇健司
学科 保健科学研究科(修士課程) 年次 1年次 履修期 2016年度春期・秋期
テーマと
到達目標

高齢者においては,心身の健康の喪失,経済的基盤の喪失,社会的つながりの喪失,生きる目的の喪失という「4つの喪失」を複合的に経験するため,作業機能障害に陥りやすいと考えられる.したがって,ヘルスケアサービスの提供者は,クライエントの心身機能や活動・参加のみではなく,環境や個人の文脈を包括的に理解し,本人にとって意味のある作業への参加を促進するトップダウンアプローチを実践する必要がある.

本講義では,作業療法で使用される包括的理論である人間作業モデル(Model of Human Occupation: MOHO)と作業遂行と結び付きのカナダモデル(Canadian Model of Occupational Performance and Engagement: CMOP-E)について,特論Ⅰでは概念モデルの総合的な理解を深め,特論Ⅱではそれらの理論の高齢者事例を通した使用方法を理解し,作業機能障害援助に資することを到達目標とする.

概要

下記講義計画にしたがい,MOHOとCMOP-Eの理解を深める.具体的には,指定した教科書の精読を通し,特論Ⅰでは概念の構成や重要語句の定義,使用されている評価法や典型的なアプローチについて学修する.必要に応じて,MOHOとCMOP-Eに関する原著や旧版の書籍,関連文献についても検討を行う.特論Ⅱでは評価手法やアプローチについて,実践的な活用方法を学修する.また,学生自らの実践事例に対して,MOHOまたはCMOP-Eを適用し,効果的なアプローチの詳細な検討を行う.ここではトップダウンアプローチとボトムアップアプローチの比較検討も実施する.

評価方法
  1. 文献/事例の理解度(50%)
  2. 発表内容(50%)

上記1,2の結果で総合評価

履修条件
注意事項
希望により特定の概念モデルを集中的に学習することも可能
春期授業計画(特論Ⅰ) 秋期授業計画(特論Ⅱ)
  1. オリエンテーション・文献の決定
  2. MOHO文献の輪読1
  3. MOHO文献の輪読2
  4. MOHO文献の輪読3
  5. MOHO文献の輪読4
  6. MOHO文献の輪読5
  7. MOHOの総括・発表
  8. CMOP-E文献の輪読1
  9. CMOP-E文献の輪読2
  10. CMOP-E文献の輪読3
  11. CMOP-E文献の輪読4
  12. CMOP-E文献の輪読5
  13. CMOP-Eの総括・発表
  14. MOHO・CMOP-E概念の比較
  15. まとめ
  1. オリエンテーション
  2. 高齢期MOHO事例の検討1
  3. 高齢期MOHO事例の検討2
  4. 高齢期MOHO事例の検討3
  5. 高齢期MOHO事例の検討4
  6. MOHO介入事例の特徴・総括
  7. 高齢期CMOP-E事例の検討1
  8. 高齢期CMOP-E事例の検討2
  9. 高齢期CMOP-E事例の検討3
  10. 高齢期CMOP-E事例の検討4
  11. CMOP-E介入事例の特徴・総括
  12. トップダウン・ボトムアップアプローチの比較1
  13. トップダウン・ボトムアップアプローチの比較2
  14. トップダウン・ボトムアップアプローチの比較3
  15. まとめ
教科書 書籍名 人間作業モデル-理論と応用 改訂第4版 出版社名 協同医書出版
著者名 Gary Kielhofner(山田孝監訳) ISBN 978-
4763921345
書籍名 続・作業療法の視点-作業を通しての健康と公正 出版社名 大学教育出版
著者名 Elizabeth Townsend & Helene Polatajko(吉川ひろみ・吉野英子監訳) ISBN 978-
4887309999
参考書 書籍名 Conceptual Foundations of Occupational Therapy 4th 出版社名 F.A. Davis
著者名 Gary Kielhofner ISBN 978-
0803620704
書籍名 クライエント中心の作業療法-カナダ作業療法の展開 出版社名 協同医書出版
著者名 Mary Law(宮前珠子・長谷龍太郎監訳) ISBN 978-
4763920997
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作業機能障害援助特論Ⅰ・Ⅱ演習

授業科目名 作業機能障害援助特論Ⅰ・Ⅱ演習 担当者 籔脇健司
学科 保健科学研究科(修士課程) 年次 2年次 履修期 2016年度春期・秋期
テーマと
到達目標

高齢期作業療法分野における作業機能障害援助に必要な知識・技術の獲得を目的とした概説を行い,学生は演習内容をふまえ,修士論文のテーマに関連した課題に取り組み発表する.

特論Ⅰ演習では,作業的存在としての高齢者の特性を理解し,その人らしさの尊重や包括的環境支援を通したOccupation-Centered Practiceを追求することで,特論Ⅱ演習では,高齢期作業療法に有用なエビデンスと作業的ナラティブを用いたアプローチの有効性を確認し,新たな作業機能障害援助方法の開発に向けて学修することで,高齢者支援の方法論を明確にすることが到達目標となる.

概要

下記演習計画にしたがい,学生の研究テーマを考慮した内容を教授する.具体的には,演習のキーワードに関連する文献の輪読やレビューを行い,それらの内容と各自の修士論文テーマをふまえた発表を通して演習内容の理解を深めるものとする. 

評価方法
  1. 演習の理解度(50%)
  2. 発表内容(50%)

上記1,2の結果で総合評価

履修条件
注意事項
研究テーマにより演習内容の変更あり
春期授業計画(特論Ⅰ演習) 秋期授業計画(特論Ⅱ演習)
  1. オリエンテーション
  2. 作業的存在としての高齢者1
  3. 作業的存在としての高齢者2
  4. 作業的存在としての高齢者3
  5. その人らしさの構成要素1
  6. その人らしさの構成要素2
  7. その人らしさの構成要素3
  8. 発表・討論
  9. 包括的環境支援とQOL1
  10. 包括的環境支援とQOL2
  11. 包括的環境支援とQOL3
  12. Occupation-Centered Practice1
  13. Occupation-Centered Practice2
  14. Occupation-Centered Practice3
  15. 発表・討論/まとめ
  1. オリエンテーション
  2. 高齢者に対する作業療法のエビデンス1
  3. 高齢者に対する作業療法のエビデンス2
  4. 高齢者に対する作業療法のエビデンス3
  5. 作業的ナラティブを用いたアプローチ1
  6. 作業的ナラティブを用いたアプローチ2
  7. 作業的ナラティブを用いたアプローチ3
  8. 発表・討論
  9. 作業機能障害援助方法の開発1
  10. 作業機能障害援助方法の開発2
  11. 作業機能障害援助方法の開発3
  12. 研究成果の公表に向けて1
  13. 研究成果の公表に向けて2
  14. 研究成果の公表に向けて3
  15. 論文発表会/まとめ
教科書 書籍名 なし 出版社名
著者名 ISBN
参考書 書籍名 適時指示する 出版社名
著者名 ISBN
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特別研究Ⅰ・Ⅱ

授業科目名 特別研究Ⅰ・Ⅱ 担当者 籔脇健司
学科 保健科学研究科(修士課程) 年次 1~2年次 履修期 2016年度秋期・2017年度春期
テーマと
到達目標

保健科学領域のうち,高齢者を中心とした生活期リハビリテーションの推進に貢献できる研究を遂行するための基本的知識を学ぶ.具体的には,研究Ⅰで先行研究を批判的,かつシステマティックにレビューし,臨床的意義の高い研究課題を設定できること,そして,倫理的配慮を行い,洗練された研究デザインを構築できるようになること,研究Ⅱで研究を遂行するのに必要な手続き,態度および方法について理解し,実際にデータを収集できること,そして,得られたデータを適切に分析し,研究成果を修士論文として要約できるようになることが到達目標となる.

概要 【研究Ⅰ】
  1. 先行研究や関連研究を通して,文献の検索や読解力を養い,思考能力を高める.
  2. 文献レビューを進めながら研究課題を洗練させ,妥当なデータ収集法を選択する.
  3. 倫理的配慮について理解し,適切な研究デザインを立案する.
【研究Ⅱ】
  1. 研究遂行に必要な準備を行い,フィールドでデータを収集する.
  2. 得られたデータを適切に分析・解釈し,結果を導き出す.
  3. 修士論文執筆に必要な文章・図表による表現力を習得する.
評価方法
  1. 計画発表会/中間発表会における発表内容,質疑応答(50%)
  2. 修士論文計画書の内容/修士論文の進捗状況(50%)

上記1,2の結果で総合評価

履修条件
注意事項
研究指導は,その研究に適した主指導教員と副指導教員2名によって実施する
春期授業計画(研究Ⅱ) 秋期授業計画(研究Ⅰ)
  1. オリエンテーション
  2. 量的データの分析法1
  3. 量的データの分析法2
  4. 質的データの分析法1
  5. 質的データの分析法2
  6. 論文執筆法(研究の背景と課題)
  7. 論文執筆法(研究目的・意義)
  8. 論文執筆法(方法)
  9. 論文執筆法(結果)
  10. 論文執筆法(図表の作成)
  11. 論文執筆法(考察)
  12. 論文執筆法(結論・要旨)
  13. 論文執筆法(文献の記載)
  14. 当該分野における貢献の吟味
  15. 修士論文中間発表会/まとめ
  1. オリエンテーション
  2. 文献データベースとオンラインジャーナルの活用1
  3. 文献データベースとオンラインジャーナルの活用2
  4. 関心テーマのシステマテック・レビュー1
  5. 関心テーマのシステマテック・レビュー2
  6. システマテック・レビューの文章化
  7. 量的研究と質的研究の特徴
  8. 量的研究デザインとデータ収集法1
  9. 量的研究デザインとデータ収集法2
  10. 質的研究デザインとデータ収集法1
  11. 質的研究デザインとデータ収集法2
  12. 混合研究デザインとデータ収集法
  13. 関心テーマの研究計画作成1
  14. 関心テーマの研究計画作成2
  15. 研究計画発表会/まとめ 
教科書 書籍名 医学的研究のデザイン-研究の質を高める疫学的アプローチ 第4版 出版社名 メディカル・サイエンス・インターナショナル
著者名 Stephen B. Hulley他(木原雅子・木原正博訳) ISBN 978-
4895927833
書籍名 作業療法研究法 第2版(標準作業療法学専門分野) 出版社名 医学書院
著者名 山田孝 ISBN 978-
4260014830
参考書 書籍名 適時指示する 出版社名
著者名 ISBN
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自立支援学特講

授業科目名 自立支援学特講 担当者 籔脇健司
学科 保健科学研究科(博士後期課程) 年次 1・2・3年次 履修期 2016年度春期~秋期
テーマと
到達目標

本講義では,高齢者や生活期の障がい者の自立支援を促すことを目的として,人間作業モデル(Model of Human Occupation: MOHO)や作業遂行と結び付きのカナダモデル(Canadian Model of Occupational Performance and Engagement: CMOP-E)等の包括的理論に基づいた評価・援助手法を開発するために必要な深い知識の習得を到達目標とする.

概要

下記講義計画にしたがい,学生の研究テーマを考慮した内容を教授する.具体的には,講義のキーワードに関連する文献の輪読やレビューを行い,それらの内容と各自の博士論文テーマをふまえた発表を通して講義内容の理解を深めるものとする.

評価方法
  1. 講義の理解度(50%)
  2. 発表内容(50%)

上記1,2の結果で総合評価

履修条件
注意事項
研究テーマにより講義内容の変更あり
春期授業計画 秋期授業計画
  1. オリエンテーション・文献の決定
  2. MOHO文献の輪読1
  3. MOHO文献の輪読2
  4. MOHO文献の輪読3
  5. MOHO文献の輪読4
  6. CMOP-E文献の輪読1
  7. CMOP-E文献の輪読2
  8. CMOP-E文献の輪読3
  9. CMOP-E文献の輪読4
  10. MOHO・CMOP-E概念の比較1
  11. MOHO・CMOP-E概念の比較2
  12. トップダウン・ボトムアップアプローチの比較1
  13. トップダウン・ボトムアップアプローチの比較2
  14. トップダウン・ボトムアップアプローチの比較3
  15. 発表・討論
  1. 作業的存在としての高齢者1
  2. 作業的存在としての高齢者2
  3. その人らしさの構成要素1
  4. その人らしさの構成要素2
  5. 包括的環境支援とQOL1
  6. 包括的環境支援とQOL2
  7. Occupation-Centered Practice1
  8. Occupation-Centered Practice2
  9. 高齢者に対する作業療法のエビデンス1
  10. 高齢者に対する作業療法のエビデンス2
  11. 作業的ナラティブを用いたアプローチ1
  12. 作業的ナラティブを用いたアプローチ2
  13. 作業機能障害援助方法の開発1
  14. 作業機能障害援助方法の開発2
  15. 発表・討論/まとめ
教科書 書籍名 なし 出版社名
著者名 ISBN
参考書 書籍名 適時指示する 出版社名
著者名 ISBN
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保健科学特殊研究

授業科目名 保健科学特殊研究 担当者 籔脇健司
学科 保健科学研究科(博士後期課程) 年次 1~3年次 履修期 2016年度春期~2018年度秋期
テーマと
到達目標

保健科学領域のうち,高齢者を中心とした生活期リハビリテーションの推進に貢献できる研究を遂行するための基本的知識を学ぶ.具体的には,研究を遂行するのに必要な手続き,態度および方法について理解し,実際にデータを収集できること,そして,得られたデータを適切に分析し,研究成果を修士論文として要約できるようになることが到達目標となる.

概要
  1. 先行研究や関連研究を通して,文献の検索や読解力を養い,思考能力を高める.
  2. 文献レビューを進めながら研究課題を洗練させ,妥当なデータ収集法を選択する.
  3. 倫理的配慮について理解し,適切な研究デザインを立案する.
  4. 研究遂行に必要な準備を行い,フィールドでデータを収集する.
  5. 得られたデータを適切に分析・解釈し,結果を導き出す.
  6. 博士論文執筆に必要な文章・図表による表現力を習得する.
評価方法
  1. 研究発表会における発表内容,質疑応答(50%)
  2. 博士論文の内容(50%)

上記1,2の結果で総合評価

履修条件
注意事項
研究指導は,その研究に適した主指導教員と副指導教員2名によって実施する
春期授業計画 秋期授業計画
  1. オリエンテーション
  2. 文献データベースとオンラインジャーナルの活用1
  3. 文献データベースとオンラインジャーナルの活用2
  4. 関心テーマのシステマテック・レビュー1
  5. 関心テーマのシステマテック・レビュー2
  6. システマテック・レビューの文章化
  7. 量的研究と質的研究の特徴
  8. 量的研究デザインとデータ収集法1
  9. 量的研究デザインとデータ収集法2
  10. 質的研究デザインとデータ収集法1
  11. 質的研究デザインとデータ収集法2
  12. 混合研究デザインとデータ収集法
  13. 関心テーマの研究計画作成1
  14. 関心テーマの研究計画作成2
  15. 博士論文中間発表会
  1. 量的データの分析法1
  2. 量的データの分析法2
  3. 質的データの分析法1
  4. 質的データの分析法2
  5. 論文執筆法(研究の背景と課題)
  6. 論文執筆法(研究目的・意義)
  7. 論文執筆法(方法)
  8. 論文執筆法(結果)
  9. 論文執筆法(図表の作成)
  10. 論文執筆法(考察)
  11. 論文執筆法(結論・要旨)
  12. 論文執筆法(文献の記載)
  13. 当該分野における貢献の吟味1
  14. 当該分野における貢献の吟味2
  15. 研究計画・博士論文発表会/まとめ
教科書 書籍名 医学的研究のデザイン-研究の質を高める疫学的アプローチ 第4版 出版社名 メディカル・サイエンス・インターナショナル
著者名 Stephen B. Hulley他(木原雅子・木原正博訳) ISBN 978-
4895927833
書籍名 現代の医学的研究方法-量的・質的方法,ミクストメソッド,EBP 出版社名 メディカル・サイエンス・インターナショナル
著者名 Pranee Liamputtong(木原雅子・木原正博訳) ISBN 978-4895927147
参考書 書籍名 適時指示する 出版社名  
著者名   ISBN  
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通信制大学院

作業療法学研究法演習

授業科目名 作業療法学研究法演習
(1年次,面接授業)
担当者 籔脇健司,京極真,岩田美幸,竹林崇,狩長弘親
到達目標

修士論文を執筆するために,研究者としての倫理と研究方法について学び,作業療法研究に必要な知識を理解し,研究計画書を作成できるようになる.

使用するテキスト
  • 保健科学研究法のテキスト
  • 作業療法学研究法のテキスト
  • その他(適時指示する)
講義概要
  1. 研究倫理
  2. 研究倫理審査申請書作成
  3. 中間発表会聴講1
  4. 中間発表会聴講2
  5. 臨床研究と量的研究1
  6. 臨床研究と量的研究2
  7. 臨床研究と量的研究3
  8. 質的研究1
  9. 質的研究2
  10. 質的研究3
  11. 理論的研究1
  12. 理論的研究2
  13. 研究計画立案のヒント
  14. 研究計画書作成演習1
  15. 研究計画書作成演習2
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地域保健科学特論

授業科目名 地域保健科学特論
(1年次,印刷授業)
担当者 籔脇健司,岩田美幸,三宅優紀
テーマ 作業療法の視点から地域保健科学を探求する
使用するテキスト

全ての課題に共通したテキストはありません.課題で指定した参考文献以外にも,自分で様々な文献にあたって学習を進めてください.

講義概要・
一般目標

地域保健科学では,個々の物語(ナラティブ)に代表されるような近視眼的なものから,疫学に代表されるような鳥瞰図的なものまで多岐に渡る.さらに,地域では,健常者や障害者,あるいは高齢者およびその家族が住み慣れたところで,そこに住む人々とともに,いきいきとした生活が送れるよう,医療や保健,福祉および生活にかかわるあらゆる人々や機関・組織に,連携という視点が必要となってくる.その中で作業療法がその専門性を発揮できるかが現在の大きな課題である。.本科目は,作業療法の視点から地域保健科学について探求することを目的に,以下の各論から構成される(オムニバス方式).


1. 地域生活支援と作業科学(籔脇健司)

地域で生活する人の営みは多様であり,作業療法士がクライエントとする人の生活を包括的に支援することは容易ではない.その人の心身の問題を要素還元的に捉えるアプローチには限界があるため,作業療法においてはクライエントを作業的存在として捉え,作業的公正の状態に導くことを目的とする作業科学の知識を活用することが有用である.今回は作業科学の観点から地域生活支援についての理解を深め,関連する知識を習得する.


2.リハビリテーション連携科学(岩田美幸)

医療,保健,福祉の分野において「連携」の重要性は明らかであり,地域リハシステムを確立するために,各関係機関の「横」の連携,利用者のライフステージにわたる「縦」の連携,そして,専門職のサービスとサービス利用者との対等な関係(パートナーシップ)の樹立と利用者の恊働が求められている.今回は,利用者の視点に立った地域リハ連携のあり方について理解を深め,関連する理論を習得する.


3. 健康増進と作業機能障害(三宅優紀)

作業機能障害は,障害者だけでなく健常者も陥る可能性がある.一般健常人における作業機能障害の存在率は約40%といわれている.この数字は,厚生労働省の調査の生活習慣病の割合と比較しても決して少なくはなく見逃してはならない問題である.今回は作業機能障害について理解し,健康増進との関係について理解を深め,作業療法学と疫学の関係性について習得する.

到達目標
  1. 地域生活を送る人々の作業の支援を作業科学的観点から説明できる.
  2. 利用者の視点に立った地域リハ連携の具体的方法について説明できる.
  3. 作業機能障害を一般の国民に説明でき,生活習慣病と同等な重要事項であることを理解し,説明できる.
評価方法 レポート課題各20%(計60%),科目修了試験40%により評価
課題内容
第1回 レポート課題 作業科学的観点による地域生活支援
レポート作成の
ポイント

地域生活支援を必要とする架空の事例を作成し,その方のアプローチを作業科学の観点を用いて検討してください.事例作成の目安は800字程度とします.作業科学の用語はその意味についても説明してください.

参考文献
  • 作業科学
    Ruth Zemke & Florence Clark編著・佐藤剛監訳
    三輪書店 1999年
  • 「作業」って何だろう
    吉川ひろみ著 医歯薬出版 2008年
  • 高齢者のその人らしさを捉える作業療法
    籔脇健司編著 文光堂 2015年  など
第2回 レポート課題 地域リハ連携の問題点と解決方法
レポート作成の
ポイント

医療,保健,福祉の中より関心の高い領域に絞り込み,利用者からみた地域リハシステムの問題点について述べ,その中で専門機関間の連携,地域社会との連携,地域住民との連携などを視野に入れて,連携のあり方について論述してください.

参考文献
  • リハビリテーション連携論
    日本リハビリテーション連携科学学会編
    三輪書店 2009年  など
第3回 レポート課題 健康増進と作業機能障害の関係
レポート作成の
ポイント

作業機能障害の種類と評価尺度にはどのようなものがあるか.また,健康増進の対象を国民全体とすると,現時点でどのような研究が足りなくて,どのような研究が必要になってくるのかを作業療法学と疫学の方法論の違いを考えながら考察してください.

参考文献
  • 国民の福祉と介護の動向
    財団法人厚生労働統計協会編 各年発行
  • 「作業」って何だろう
    吉川ひろみ著 医歯薬出版 2008年  など
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作業機能障害支援学特論

授業科目名 作業機能障害支援学特論
(1年次,印刷授業)
担当者 籔脇健司
テーマ 作業療法理論の実践への適用
使用するテキスト
  • 人間作業モデル 改訂第4版
    Gary Kielhofner編著・山田孝監訳 協同医書出版 2012年
  • 続・作業療法の視点-作業を通しての健康と公正
    カナダ作業療法士協会編著・吉川ひろみ監訳 大学教育出版 2011年
講義概要・
一般目標

作業行動理論を提唱したMary Reillyは,1960年のEleanor Clarke Slagle記念講演において,「人間は自分の精神と意志とによって活気づけられた両手の使用を通して,自らの健康状態に影響を与えることができる」と述べた.これは当時還元主義パラダイムのまっただ中にあったアメリカの作業療法を「作業」に根ざしたパラダイムへ転換するように臨床家や教育者へ求めたもので,その後,アメリカの作業療法士達は自らのアイデンディティを取り戻したのである.

しかし,わが国の作業療法実践は,依然として機能訓練を中心とした還元主義的アプローチが主流である.その結果,診療報酬や介護報酬において,作業療法が単独で評価されない事態となっている.したがって,日本の作業療法士達は「作業」に根ざした実践を通して,クライエントの健康に影響を与える専門家であることを示す必要がある.

そこで作業機能障害支援学特論では,1年次に「作業」に根ざした代表的な実践理論である「人間作業モデル」や「カナダ作業遂行モデル」の理解を深めるとともに,新しいトップダウンアプローチである「Occupational Therapy Intervention Process Model」についても学習する.また,各モデルを適用した事例検討を行うものとする.本専攻の基本的理念は,理論に基づいた作業療法実践(Theory Based Occupational Therapy)であり,この理念を満たす重要な概念の修得を本授業の目標とする.

到達目標
  • 作業療法実践を行うための重要理論の概要を説明できる.
  • 作業療法理論に基づいた実践を行い,事例報告に要約することができる.
評価方法 レポート課題各20%(計60%),科目修了試験40%により評価
課題内容
第1回 レポート課題 人間作業モデルとカナダ作業遂行モデルの特徴について
レポート作成の
ポイント

両モデルは,人間-作業-環境の相互作用をダイナミックに捉えるという面で共通しているが,概念的枠組みは大きく異なる.この課題では,各モデルの概要を理解し,使用する評価法やアプローチの比較を通して,それぞれの特徴をまとめて下さい.

参考文献
  • 授業テキスト
  • 作業療法の理論 原書第3版
    Gary Kielhofner著・山田孝監訳 医学書院 2008年
  • 作業療法実践の理論 原書第4版
    Gary Kielhofner著・山田孝監訳 医学書院 2014年
第2回 レポート課題 Occupational Therapy Intervention Process Model(OTIPM)の特徴について
レポート作成の
ポイント

OTIPMは真のトップダウンアプローチとよばれ,10の側面からの情報を集めて作業に基づいた介入を行うモデルである.この課題では,モデルの概要と実践方法をまとめ,なぜ真のトップダウンアプローチとよばれているのかについて論じて下さい.

参考文献
  • 授業テキスト
  • Occupational Therapy Intervention Process Model
    Anne G Fisher & Lou Ann Griswold著
    Three Star Press 2009年
  • 作業療法がわかるCOPM・AMPS実践ガイド
    吉川ひろみ・齋藤さわ子著 医学書院 2014年
第3回 レポート課題 人間作業モデル/カナダ作業遂行モデル/OTIPMを適用した事例検討
レポート作成の
ポイント

この課題では,学習したモデルの理解を深めるために,学生自身の臨床・研究フィールドのクライエントに人間作業モデル,カナダ作業遂行モデル,OTIPMのいずれかを適用し,事例検討を実施します.レポートの様式は特に指定しませんが,可能な限り日本作業療法士協会の事例報告登録制度の形式に準拠して下さい.

参考文献
  • 授業テキスト/前出の参考文献
  • 高齢者のその人らしさを捉える作業療法
    籔脇健司編著 文光堂 2015年
  • 事例でわかる人間作業モデル
    山田孝編著 協同医書出版 2015年
  • 作業行動研究 各号 日本作業行動学会
  • 作業科学研究 各号 日本作業科学研究会

授業科目名 作業機能障害支援学特論
(2年次,印刷授業)
担当者 籔脇健司
テーマ 作業療法理論の実践への適用と発展
使用するテキスト
  • 人間作業モデル 改訂第4版
    Gary Kielhofner編著・山田孝監訳 協同医書出版 2012年
  • 続・作業療法の視点-作業を通しての健康と公正
    カナダ作業療法士協会編著・吉川ひろみ監訳 大学教育出版 2011年
講義概要・
一般目標

作業行動理論を提唱したMary Reillyは,1960年のEleanor Clarke Slagle記念講演において,「人間は自分の精神と意志とによって活気づけられた両手の使用を通して,自らの健康状態に影響を与えることができる」と述べた.これは当時還元主義パラダイムのまっただ中にあったアメリカの作業療法を「作業」に根ざしたパラダイムへ転換するように臨床家や教育者へ求めたもので,その後,アメリカの作業療法士達は自らのアイデンディティを取り戻したのである.

しかし,わが国の作業療法実践は,依然として機能訓練を中心とした還元主義的アプローチが主流である.その結果,診療報酬や介護報酬において,作業療法が単独で評価されない事態となっている.したがって,日本の作業療法士達は「作業」に根ざした実践を通して,クライエントの健康に影響を与える専門家であることを示す必要がある.

そこで応用作業療法学特論では,2年次に理論に基づいた作業療法実践(Theory Based Occupational Therapy)におけるデータ収集法や分析法を理解し,かつ自身の研究テーマが実践にどのように貢献できるかを検討する.1~2年次の学習を通して,本専攻の基本的理念である理論に基づいた作業療法実践に必要な概念を理解し,さらなる発展に寄与する研究スキルの修得を本授業の目標とする.

到達目標
  • 作業療法実践を行うための重要理論を詳細に説明できる.
  • 作業療法理論に基づいた研究を行い,論文を作成することができる.
評価方法 レポート課題各20%(計60%),科目修了試験40%により評価
課題内容
第1回 レポート課題 理論に基づいた作業療法実践におけるデータ収集法について
レポート作成の
ポイント

この課題では,理論に基づいた作業療法実践において,詳細な分析に耐えうるデータ収集をどのような方法で行えば良いのかを学習し,まとめて下さい.自身の研究テーマに関連する手法を中心とします.

参考文献
  • 授業テキスト(研究法で使用したテキストも含む)
  • 保健・医療のための研究法入門-発想から発表まで
    Diana M. Bailey著・朝倉隆司監訳
    協同医書出版 2001年
  • 現代の医学的研究方法-量的・質的方法,ミクストメソッド,EBP
    Pranee Liamputtong著・木原雅子/木原正博訳
    メディカル・サイエンス・インターナショナル 2012年
第2回 レポート課題 理論に基づいた作業療法実践におけるデータ分析法について
レポート作成の
ポイント

この課題では,理論に基づいた作業療法実践において,有用な知見を見出すためのデータ分析をどのような方法で行えば良いのかを学習し,まとめて下さい.自身の研究テーマに関連する手法を中心とします.

参考文献
  • 授業テキスト(研究法で使用したテキストも含む)
  • 前出の参考文献
  • リハビリテーション統計学
    対馬栄輝・木村雅彦編著 中山書店 2015年
第3回 レポート課題 理論に基づいた作業療法実践と自身の研究テーマとの関係について
レポート作成の
ポイント

この課題では,理論に基づいた作業療法実践と自身の研究テーマとの関係を整理し,これまで学んだ内容をふまえて論じて下さい.

参考文献
  • 授業テキスト
  • 作業療法の理論 原書第3版
    Gary Kielhofner著・山田孝監訳 医学書院 2008年
  • 作業療法実践の理論 原書第4版
    Gary Kielhofner著・山田孝監訳 医学書院 2014年
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作業機能障害支援学特論演習

授業科目名 作業機能障害支援学特論演習
(1~2年次,面接授業)
担当者 籔脇健司
到達目標

本演習では国内外の文献検索方法と論文のエビデンスレベルを判断する方法を理解し,実際に関心テーマのシステマテック・レビューを実施して要約する.また,量的・質的研究のデザインと多様なデータ収集方法について理解し,文献レビュー結果をふまえた関心テーマに関する研究計画を作成する.さらにデザインに応じたデータ分析方法について理解し,最終的には効果的なプレゼンテーションを可能とする技術の習得を目標とする.これらは特別研究と相補的に実施する.

使用するテキスト
  • 保健科学研究法,作業療法学研究法において使用するテキスト
  • 保健・医療のための研究法入門-発想から発表まで
    Diana M. Bailey著・朝倉隆司監訳 協同医書出版 2001年
  • 現代の医学的研究方法-量的・質的方法,ミクストメソッド,EBP
    Pranee Liamputtong著・木原雅子/木原正博訳
    メディカル・サイエンス・インターナショナル 2012年
  • 外国語教育研究ハンドブック 改訂版
    竹内理・水本篤編著 松柏社 2014年
  • その他(適時指示する)
講義概要
  1. 文献レビューとエビデンスの判断
  2. 関心テーマのシステマテック・レビュー
  3. 研究デザインとデータ収集法
  4. 関心テーマの研究計画作成(倫理的配慮)
  5. データ分析法と効果的なプレゼンテーション

授業は,スクーリング時および通信手段を用いて実施する.

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特別研究

授業科目名 特別研究
(1~2年次,印刷および面接授業)
担当者 籔脇健司
テーマ

理論に基づいた作業療法実践(Theory Based Occupational Therapy)を可能とする,臨床現場で抱える諸問題を解決するための修士論文を作成する.

使用するテキスト
  • 保健科学研究法,作業療法学研究法において使用するテキスト
  • 研究のテーマや進捗状況に応じて,指導教員が適宜指示
講義概要・
一般目標
講義概要:

各々が設定した臨床疑問から,研究疑問の構造化,先行・関連研究の批判的吟味,量的・質的な研究デザインの検討を通して研究計画の立案を行う.研究計画立案後は,倫理審査委員会への申請,実際のデータ収集,得られたデータの分析,解釈,考察を通じて中間発表,修士論文の執筆,最終発表を行う.スクーリングでは,個別・グループでの対面指導を実施し,研究発表会でのプレゼンテーションやディスカッションによって,研究の進展を多角的に支援する.


一般目標:

修士論文を作成するための基本技術(研究テーマの設定,文献検索,研究方法の理解,研究倫理の遵守,論文の章立て・構成,引用文献の記載方法,図表の作成方法,論文・要旨の書き方など)を修得する.

到達目標
  • 各自が選定した作業療法における研究疑問について,先行研究の批判的吟味,研究デザインの検討を通して,具体的な研究計画の立案を行い,研究計画書を作成できる.
  • 研究計画書に基づき,研究を実施し,得られたデータの分析,解釈を通して修士論文を作成できる.
  • 修士論文の完成を通じて得られた研究成果を用いて,質の高い作業療法実践が行える.
評価方法 研究遂行,修士論文執筆に対する態度・姿勢,修士論文の完成度,最終発表会でのプレゼンテーションと質疑応答の内容から総合評価
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